- 1 エナギーヴェンデが必要な理由
- 2 クリーンエネルギー政策
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3 主要課題の技術的側面
- A エネルギー効率
- B 石炭火力発電の減少
- C 風力
- D バイオマス
- E 太陽光(PV)
- F その他の自然エネルギー
- G 系統と電力貯蔵
- H 柔軟な発電(ベースロードはもう要らない)
- I 人々による人々のためのエネルギー
- 4 エナギーヴェンデの歴史
- 5 欧州の状況
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6 質問と回答
- A エネルギー転換は経済的なのか?
- B 貧しい人々にも手の届くエネルギーを確保するためのドイツの施策は?
- C 自然エネルギーはいつ元が取れるのか?
- D 風力・太陽光発電は、導入のために消費したエネルギーを回収できるのか?
- E なぜ低炭素化目標だけでは不十分なのか?
- F 原発の段階的廃止後、ドイツの電力輸入量は増えるのか?
- G ドイツは福島の原発事故に過剰反応したのではないか?
- H 二酸化炭素排出量を削減する方法として、自然エネルギーは高くつくのではないか?
- I 原発の段階的廃止によって、ドイツの二酸化炭素排出量が増えることはないか?
- J 原子力は二酸化炭素排出量を削減する安価な方法ではないのか?
- K 停電は発生するのか?
- L エナギーヴェンデによって雇用が失われるのか?
- M ドイツの人々はエナギーヴェンデを支持しているのか?
- N ドイツはどのようにして環境保護を主導しながら産業大国であり続けることができるのか?
- O エネルギー集約型企業に対する自然エネルギー電力賦課金の減免制度とは?
- P ドイツのエナギーヴェンデにおけるシェールガスの役割は?
- Q なぜドイツの二酸化炭素排出量は2013年に増加後、2014年に再び減少したのか?
- R ドイツでは石炭の復興が起こっているのか?
- S ドイツにはどれだけの電力貯蔵が必要なのか?
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7 主な知見
- A ドイツのエナギーヴェンデは、野心的であるが、実行可能だ。
- B ドイツのエネルギー転換の原動力は、市民とコミュニティーである。
- C エナギーヴェンデは、ドイツにおける戦後最大のインフラ整備であり、経済を強化するとともに新たな雇用を創出する。
- D エナギーヴェンデによって、ドイツは産業基盤を維持するだけでなく、それを環境に優しい未来に適合させることを目指す。
- E 規制と自由市場が、投資の確実性をもたらし、小企業と大企業の競争を可能にする。
- F ドイツは、気候変動と闘うことと脱原発が表裏一体であることを実証する。
- G ドイツのエナギーヴェンデは、一般に論じられるよりも幅広い。自然エネルギー電力だけでなく、輸送部門および住宅部門におけるエネルギー利用の転換も含んでいる。
- H ドイツのエナギーヴェンデは生活に浸透している。
- I エナギーヴェンデはドイツにとって経済的であり、将来的には他の国にとってもますます経済的になるだろう。
- 8 用語集
主な知見
規制と自由市場が、投資の確実性をもたらし、小企業と大企業の競争を可能にする。
ドイツのエネルギー政策は、市場ベースの手段と規制を組みわせたものである。再生可能エネルギー法の下、自然エネルギー電力は系統アクセスを保証されるため、投資の確実性がもたらされ、家族経営企業や小企業が大企業と競争できる。こうした政策により、グリーン電力生産者は設定された料金で電力を販売できる。料金は「逓減する」、つまり徐々に低下することで将来価格を引き下げる。石炭や原子力による電力と異なり、自然エネルギーのコストは隠蔽されることも、将来世代に転嫁されることもなく、透明かつ直接的である。政府は自らの役割を目標と政策を定めることだと考えている。市場は自然エネルギーへの投資額と電力価格の動向を決定する。消費者は自由に電力事業者を選べるため、低価格の電力を購入したり、100%自然エネルギーを提供する事業者に切り替えたりできる。