主要課題の技術的側面

太陽光(PV)

この10年間、当初はコストの高い技術だった太陽光発電に注力していたドイツは、しばしば批判を受けてきた。しかし、現在の太陽光発電のコストは洋上風力発電よりも安く、バイオマスにも負けていない。さらに、近い将来には風力発電とも対等な競争力を持つようになると見込まれている。ドイツは世界のために太陽光発電のコストを下げてきたのだ。現在は、国内の電力供給に大量の太陽光電力を統合することが課題となっている。

太陽光発電とは、太陽光パネルを使って電力を生成することだ。太陽熱は、温水供給や暖房に使われる熱を生み出す。太陽熱は集光型太陽熱発電(CSP)という技術で発電にも利用できるが、この技術が有効なのは主に砂漠であり、ドイツではない。

特に日照に恵まれているという印象がないにもかかわらず、ドイツでは世界最大の太陽光発電市場が発展してきた。太陽光発電のコストは、この20年間のうちに他のどの自然エネルギーのコストよりも急激に下落した。専門家の予測では、今後10年のうちに石炭火力発電と同程度にまでさらに下がるという。電力消費が少ない晴れた日の数時間分であれば、太陽光は既にドイツの電力需要の50%を賄うことができる。しかし、こうしたドイツの事例から、太陽光発電をさらに推進するには電力市場の再構成が必要であることが分かった。というのは、太陽光発電によって電力の卸売価格が引き下げられ、バックアップ電源の発電所の採算性が落ちてきたからである。

「太陽光」という言葉を聞いて、最も多くの人が連想するのが太陽光発電(PV)である。ずいぶん前から、PVは商用化が進んでいる自然エネルギー電力のなかで最もコストが高いといわれてきたが、そのコストはここ数年で急落しており(2008年から2012年で約50%の下落)、今では集光型太陽熱発電や洋上風力発電よりも安くなっている。

ドイツのPV導入量は、絶対値では他のどの国よりも多いが(2013年秋の時点で約35 GW)、最も重要なのは、PV導入量を夏のピーク需要と関連づけて比較することである。何といっても、太陽光による発電量が最も多いのは夏の午後だからだ。

ドイツでは、夏は多くの人がエアコンなしで過ごせる一方、冬は暖房や照明などで大量の電力が必要になるため、電力需要は冬より夏のほうが少ない。そのため、2012年には数日の間、国の電力需要のほぼ半分をPVだけで満たすことができた。2014年6月6日には、ドイツの太陽光発電は過去最高の24.2 GWを記録した。総電力需要に占める太陽光発電の割合は、この日全体としては約6分の1にとどまったが、ピーク時には3分の1に達した。

太陽光発電の支持者が長年にわたって指摘しているのは、太陽光発電が昼食時頃の電力需要のピークと同期して行われるという点である。そのため、比較的コストの高い太陽光発電でも、さらに高コストの発電に代わってそのピーク需要を満たせば、有効に活用できるというのだ。太陽光発電は今もなお、ほぼあらゆる場所においてピーク需要を満たすにはうってつけの手段となっている。ほぼあらゆる場所と言ったが、その例外がドイツである。既に大量の太陽光発電が導入されているドイツでは、ピーク需要はもはや問題ではなくなってしまったのだ。ドイツの太陽光発電は、今では夏の間のミディアムロードの大部分を補うだけでなく、ベースロード発電の一部を補うこともある。

こうした太陽光発電の発展の結果の一つとして、フル稼働する機会を失ってしまった国内の従来型発電所を運営する電力会社の利益が大幅に減少した。しかも、太陽光発電のおかげで昼間のピークを補う電力が不要になったため、これらの電力会社は電力を高値で売ることができなくなった。このような事態の急展開を受けて、現在ドイツ政府は電力市場の再構成に向けて模索している。ドイツの電力需要が1年のうちで絶対的なピーク(約80 GW)に達すると同時に、太陽光発電が全く行われない時間帯でもある冬のピークのために、十分な発電容量を調整可能な状態で待機させておくようにするのが目的だ。このようにドイツならではの状況に触れることで、他の国々は自国の未来を垣間見ることができる。

2014年の最も日が短かった日にも、ドイツの太陽光発電は何とか2基の大型原子炉に相当する電力を3時間にわたって発電し、電力需要のピークを補うことができた。