クリーンエネルギー政策

脱原発

脱原発は、ドイツのエナギーヴェンデの中核だ。ドイツ人は、原子力を不必要に危険性が高く、コストが高くつき過ぎ、自然エネルギーとは両立しないと考えている。2022年には、ドイツで最後の原子力発電所が停止される予定だが、2011年初めの時点では17基が稼働していた。そして、2015年初頭の時点でもいまだ9基が稼働中である(2016年3月時点では8基)。ドイツとしては、脱原発によって生じた電力不足分は自然エネルギーによる電力や、天然ガス火力発電、電力消費の削減(効率改善と節電)、需要管理、および、当面の間は、残っている既存の従来型発電所によって賄う計画である。

2011年に表明された脱原発はドイツで初めて決定されたものではない。2000年にはすでに、ゲアハルト・シュレーダー首相率いる社会民主党と緑の党の連立政権が、ドイツの原発を保有する電力会社側と、32年の平均耐用年数を過ぎた原発を停止するとの合意に達していた。当時、ドイツには耐用年数に達していない原発が19基あった。

そして、電力会社は発電量(kWh)の発電所間での配分を許可されていた。この方法で、電力会社自身が予定より早く原発停止を決定しながらも、残っている電力量を、たとえば、送電網のより重要な地域に位置する別の発電所に譲渡することも可能であった。それまでに発電した原子力発電量に応じて、2023年をめどに最後の原子力発電所を停止することになっていた。

ドイツの四大電力会社(EnBW社、RWE社、エーオン社、スウェーデンに本社を置くヴァッテンフォール社)は、シュレーダー政府と合意したこの妥協案を受け入れざるを得なかったが、様子を見ながら、原子力から自然エネルギーではなく、むしろ石炭や天然ガスに転換する戦略を進めてきたように思われる。2011年末までのドイツの自然エネルギーに対する新たな投資に占める四大電力会社の割合は合計で7%に過ぎない(国民の自然エネルギーの投資に関する詳細は、第2章 - I「人々による人々のためのエネルギー」を参照)。同時期、ドイツの電力供給に占める原子力の割合は1999年の30%から2010年には23%に落ち込んでいるが、これは19基の原子力発電所のうち2基がすでに閉鎖されたことで、脱原発がすでに進行中であったことを明白に示している。

政策転換

その後、2011年3月11日に福島の原発事故が起こった。ベルリンだけで、推計9万人が街頭に出て原発に抗議した。ドイツ政府は、国内17基のうち8基の原子炉をすぐに停止することを決定した。この決定は2カ月後に確定し、実質的には、メルケル首相の連立政権が、その前の脱原発決定をほんの数カ月保留して、似たような最終期限を再び制定したことになる。現在、ドイツは、2022年までの原発の段階的閉鎖に向けて再び取り組んでいる。残り9基の各原発についても、具体的な停止日程が定められている(2016年3月時点では、8基が稼動中)。

原発政策に対するメルケル連立政権の完全な転換にも関わらず、国民は首相の心変わりを信じていないように見える。福島の原発事故直後に行われた州選挙は、原発に関する国民投票といった印象で、大量の票が緑の党に流れ、中でも、南西部のバーデン=ヴュルテンベルク州でドイツ初の緑の党出身の州知事が誕生したことは注目すべきである。