質問と回答

エネルギー転換は経済的なのか?

経済的である。それどころか、経済的にそうしないわけにはいかない。現在の自然エネルギーへの投資は、従来型エネルギーの価格が高くなるにつれて、通常20年の設備の耐用年数で採算が取れるだろう。さらに、自然エネルギーが高いと言われるのは、化石エネルギーや原子力エネルギーのコストの一部が、税金などの外部費用として転嫁され、電気料金に直接含まれていないからである。

実質的に自然エネルギーのコストは下がり続ける一方で、従来型エネルギーのコストは、化石燃料による電力も原子力による電力も、予想のつかない変動を続け、長期的に上昇傾向にあることは明らかだ。実際、ドイツの主に化石燃料による熱供給コストは2013年に最高レベルに達した。

ドイツ有数の経済研究所であるドイツ経済研究所(DIW)は、今後10年間のエナギーヴェンデのコストを2,000億ユーロと見積もったが、正味の影響(同時に削減されるエネルギーコストもある)は、1世帯ひと月当たり10ユーロ前後で、現在とほぼ同じである。

ドイツの自然エネルギー電力を賄う賦課金について精査すると、過去10年にわたるドイツの平均電力小売価格上昇の3分の2は賦課金が原因でないことが分かる。

隠れた補助金

確かに、自然エネルギーが高価な時代にドイツが自然エネルギーを増加させ、その中で自然エネルギーの価格を下げたことは注目に値する。自然エネルギーへの転換コストの影響が、この10年の最初の5年でピークに達することは、はじめから予測されていた。ドイツの自然エネルギーへの投資は、実際に2010年にピークに達し、今後数十年は毎年、最高レベルの3分の1以上低下する ことは今や明らかだと思われる。

極めて早期に自然エネルギーに投資することにより、ドイツは多額の費用を負担したかもしれないが、将来も使い続けられる技術の主要な提供者としての地位も確立した。言い換えれば、自然エネルギーの競争力が高まるにつれ、世界中が転換し始めるだろう。特に太陽光発電へのドイツの投資は、発展途上国も含め世界中で太陽光発電技術を経済的に成り立つものにした。たとえば、2015年第1四半期には中国が5 GWの太陽光発電を導入し、インドでも太陽光発電施設を建設する大規模な計画がある。

ドイツで自然エネルギーが高いと思われている理由は、全コストの大半が専用項目(EEG賦課金)として直接支払われるからである。対照的に、石炭や原子力による発電に対する補助金は、納税者に転嫁される予算項目として主に間接的に支払われてきた。ドイツは財政赤字を抱えているため、こうしたコストは利息を付けて将来の納税者に転嫁されている(出典:グリーン・バジェット・ジャーマニー)。

さらに、エナギーヴェンデの「コスト」は、他と切り離して見ることができない。エネルギー消費の非金銭的コストは、光熱費の請求書には表れない。しかし、温室効果ガス排出や公害による環境への影響を合計すると、すぐに相当な額になる。2015年にドイツ連邦経済エネルギー省が公表した研究では、2013年に自然エネルギーによる電力と熱の利用により回避したコストを正味90億ユーロと算定している。しかしながら、こうした節約は、どのような明細書にも別個に記載されない。しかもドイツは、家庭でも自然エネルギーに投資し、また、世界市場でも売れ筋となる高効率の製品を開発することにより、エネルギー輸入への依存を徐々に減らしている。