クリーンエネルギー政策

欧州連合との連携

エネルギーは欧州連合の中心的課題になっているが、EUはこの分野の排他的権限を持たない。2009年のリスボン条約で共有権限としたことは思い切った前進であったが、エネルギー問題は依然として加盟国と多くのEU機関との間で当然のように対立が生まれる分野である。

加盟国は自国のエネルギーミックスを決める権利を有するが、一方で欧州委員会はEUの持続可能なエネルギーと気候政策を策定する権限を有する。域内エネルギー市場の完成とエネルギー同盟に関する議論が示すように、エネルギーミックスを決定する国家主権は依然として大切な資産ではある。しかし、国際レベルでの交渉事になると、最も乗り気でない加盟国でさえ、権限を束ねて隣国と協力することや、欧州委員会に、自国の代わりに行動する権限を与えることすらメリットがあると考える。このことは、エネルギー安全保障および信頼性の低い供給者からのエネルギー面での独立性を考えたときにさらに重要度を増す。国際舞台では、野心的な気候同盟としてEUが果たした先駆者的な役割はいくらか輝きを失った。

域内では、EUは確かに物事を推し進めてきた。近年では、自然エネルギーおよびエネルギー効率化対策、つまり長期的なエネルギー政策ビジョンであるエネルギーロードマップ2050に関する非常に重要な法律を数多く制定して貢献している。同時に、EUは加盟国の熱意に依存している側面があり、ここ数年は各国のエネルギー政策に分断が見られる。クリーンエネルギーへの転換、脱原発、CO2排出削減に十分に取り組む国もあれば、シェールガスなどの新しい資源の可能性を探求したり原発のようなリスクの高い技術に多額の補助金を出したりする国もある。

気候およびエネルギー目標の具体的な実行に関してEUと加盟国はどのような立場を示しているのか。エネルギーロードマップ2050は、欧州の競争力と供給の安定性を高めながら、欧州の低炭素経済の実現を目指す。この野心的な目標を達成するため、2020年と2030年に向けた拘束力のある中間マイルストーンが設定されている。具体的には、EUの2020年気候変動・エネルギー政策枠組みは、2020年までに、CO2排出量を20%削減、電源構成に占める自然エネルギーの割合を20%、エネルギー効率を20%増加することを目標としている。こうした排出量削減目標の手段として策定された排出量取引システムは、世界初のシステムとして導入され、他の国や地域でも広く手本となっている。

しかし、とりわけ2030年目標を達成するにはさらなる取り組みと努力が必要となる。2014年の複雑な政治交渉を経て、CO2排出量を少なくとも40%削減して、自然エネルギーの割合を少なくとも27%まで増やし(EUレベルで義務付け)、エネルギー効率を少なくとも27%向上させるという最小公倍数で加盟国は合意した。EUの2050年の低炭素経済目標を達成する道のりは長く険しい。乞うご期待である。