エナギーヴェンデが必要な理由

気候変動との闘い

石炭、石油、ガスの燃焼により、地球の気候が過度に温暖化している。現在我々が利用しているエネルギー源は、持続的なものではない。エナギーヴェンデの主な目的の一つは、自然エネルギー源への転換と、エネルギーの効率化による需要の削減によって、脱炭素化したエネルギーを供給することである。

石炭、石油、ガスの燃焼により、地球の気候が過度に温暖化している。現在我々が利用しているエネルギー源は、持続的なものではない。エナギーヴェンデの主な目的の一つは、自然エネルギー源への転換と、エネルギーの効率化による需要の削減によって、脱炭素化したエネルギーを供給することである。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、世界中の科学者による多数の研究に基づき、気候変動の影響が広がれば破滅的な被害が生じると繰り返し警告してきた(IPCCは直接独自に調査を行うのではなく、各国で一般的に合意された科学的見解に拠って報告を行う機関である)。

2011年の調査では、66%のドイツ人が気候変動を「非常に重大な」問題であると回答した。経済危機が最大の問題であると回答したのはわずか27%だったのに対し、それを大幅に上回る割合で気候変動を非常に重大とする回答が示されたのだ。ドイツ経済はこの数年間にわたって優れた回復力を示しており、グリーンテクノロジーによる貢献もその要因の一つだが、この調査結果にはそんな背景も反映されたのかもしれない。同調査では、ドイツ人の79%がエネルギーの効率化と気候変動への対策が経済成長と雇用創出に有効であると考えていることも明らかになったが、これも驚くにはあたらない。続く2013年の調査では、気候問題の存在に懐疑的なドイツ人は全体のわずか7%だった。

ドイツの実業界も、この流れに同調している。2009年にデンマークのコペンハーゲンで開催されたCOPの直前に、ドイツを代表する企業経営者、研究者、政治家の378人を対象に行われた調査によれば、温室効果ガス排出量の削減において先駆的な役割を果たしてきたドイツは、技術的にも優位に立つことができると考える人が、調査対象者の5分の4以上を占めた。さらに、こうした動きに懐疑的だった人々も、時が経つにつれて態度を変えつつある。2014年の世界エネルギー会議の調査では、エナギーヴェンデが長期的な経済利益をもたらすと答えた人は調査対象者のわずか3分の1だったが、2015年の調査では54%に伸びた。

ドイツ人は、自分たちには行動を起こす責任があると感じていることも、さらに重要である。過去150年間にわたる二酸化炭素排出に大きく加担してきた国の一つがドイツであることを認識するとともに、今は先進工業国として、発展途上国や、気候変動により深刻な影響を受ける国に対する責任を負っていると考えているのだ。ドイツ国民は、主に次の2つの方法でこの責任を果たそうとしている。

  1. 国際的な気候変動対策に向けた資金援助への貢献
  2. エネルギー転換

カーボン・バジェット(炭素予算)

気候の専門家たちの間では、気候は慣性に従って変化するため、今となってはある程度の地球温暖化は避けられず、大気中の二酸化炭素濃度が現在の値で落ち着いたとしても、温暖化はこの先数十年は続くだろうといわれている。19世紀の産業革命が始まった頃には280 ppmだった大気中の二酸化炭素濃度は、現在400 ppmを超えており、近年では類を見ない高い値となっている。

地球の気温上昇を2℃以下に抑制すれば、深刻な被害を招く変化のほとんどを阻止できるといわれている。これを実現するためには、二酸化炭素濃度を450 ppm以下に抑えなければならない。多くの科学者は350 ppmまで削減することが長期目標として妥当であると考えているが、それを達成するには大気中の二酸化炭素(CO2)の純減が必要である。ところが、現在我々はCO2を増やし続けている。

ドイツの温室効果ガス排出量は、2014年末時点において1990年比で27%減少した。その過程で、京都議定書における2012年末までに21%削減という目標は達成済みである。しかし、ドイツは2020年までに40%減、2050年までに80~95%減という目標を掲げ、さらに上を目指している。

こうした目標は野心的に見えるかもしれないが、先進工業国は将来直面する結果を見越して早急な行動をとらなければならない。「炭素予算」を450 ppm以下にとどめるつもりなら、新たに大気中に排出される温室効果ガスを1兆2300億トン以内に抑えなければならない。2004年には、このような温暖化ガスが500億トンほど排出された。このペースでいくと、この予算はわずか25年で尽きてしまうことになる。つまり、理想としては、2030年から全世界で排出ゼロの実現が必要になるということだ。

さらに、発展途上国に対して発展に合わせて少しずつ排出量を増やせる権利を認めると、先進国が負担すべき排出削減量はさらに大きくなる。言い換えれば、ドイツの排出量の削減率は80%ではなく95%にしなければならなくなる。ここで注意したいのは、排出量の削減は必ずしも経済成長を妨げるわけではないということだ。1990年から2014年にかけて、EU加盟国はその温室効果ガス排出量を19%削減しながらも、45%の経済成長を遂げた。2014年、ドイツは温室効果ガスの排出量と化石燃料の消費量をそれぞれ5%近く削減したが、経済成長率は1.6%だった。

従来型の電球の代わりにLED電球を利用するなど、多くの省エネ技術が既に利用されている。空調や暖房に関しては、パッシブハウスによってエネルギー消費をかなり抑えた快適な空間が実現している。

そして、これからもエネルギーを消費しながら、自然エネルギーのシェアを更に拡大させていくことはできる。ドイツでは、2013年にはCO2換算で推定1億4600万トン分の排出量が、自然エネルギーによって削減された。このうち1億500万トン分が、電力部門だけで削減された。また、バイオマスは一般的にカーボンニュートラルであり、つまり排出する炭素の量と植物が成長中に吸収した炭素の量がほぼ同じである。2013年、ドイツの熱および運輸部門では、バイオマスの利用によってCO2排出量が約5,000万トン削減された。