質問と回答

なぜ低炭素化目標だけでは不十分なのか?

ドイツは、気候変動と闘うと同時に原発のリスクを軽減したいと考えている。原発はそのリスク、コスト、未解決の廃棄物問題のため、受け入れられない。加えて、世界のエネルギー供給で重要な役割を果たすほどの経済性がない。

ドイツは気候変動と闘い、原発を段階的に廃止し、安定した経済的でクリーンなエネルギーを供給することを目指している。気候目標や排出量取引も一部の目標には寄与するが、すべてに対してではない。そのためドイツ政府は、各種部門および各種技術に対応する政策を設けた長期的で包括的な気候・エネルギー戦略を推し進めている。

排出量取引は重要な手段ではあるが、ドイツ人が望む目標にはつながらない。たとえば、排出量取引の主なメカニズムはコストであるため、費用対効果で活動の優先順位が決まり、意図した結果としては、最もコストのかからないプロジェクトが繰り返されることになる。意図しない結果としては、最も安価な選択肢だと考える投資家がいなければ、実施する価値があるプロジェクトも実現しない。自然エネルギーの場合、陸上風力発電がほとんどいつも他の競争相手すべてを打ち負かすため、全種類の自然エネルギーを強化する方法としては、排出量取引は特によくない。

ドイツの目標は、物質面での生活水準の向上を保証しつつも、自然エネルギーによって供給できるレベルまでエネルギー消費を減らすことである。「いつになったら太陽光が、石炭や原子力と競合できるのか」というような質問がよくあるが、太陽光や風力を始めとする自然エネルギー源を単独で従来型の電力に置きかえることはできない。自然エネルギーを組み合わせることで初めて可能になるのだ。排出量取引は最も安価な選択肢ばかり促進するため、そのようなエネルギーミックスを実現することはできない。そのため、排出量取引はドイツの目標にとって不十分である。ドイツの政策立案者は(排出量取引のように)現在の技術の効率性を徐々に高める政策と(ドイツの固定価格買取制度のように)当初は高価でも時がたてば競争力を持つ技術革新を推進する政策が必要であると確信している。