質問と回答

ドイツでは石炭の復興が起こっているのか?

現在、多くの石炭火力発電所が新設されており、正味発電容量は今後10年間増加すると見込まれている。これらの石炭火力発電所は、排出量取引の第1期間以降に計画されたもので、石炭火力発電から天然ガス発電を失敗に導いた。しかし次第に自然エネルギーが需要を補っているため、石炭火力発電によるこの追加容量分は採算が取れそうにない。2014年に、無煙炭と褐炭による発電が6%以上減少し、企業は現在慌てて容量を廃止しているところだ。福島第一原発事故以降、電力計画に石炭火力発電所は一切追加されていない。

ドイツのエネルギー転換に対する主な懸念の一つが石炭火力発電の役割である。2013年前半、ドイツの総電力供給量に占める石炭の割合は5ポイント増えて52%になり、石炭ブームではないかと大きく報道された。しかし2014年には、無煙炭による発電は2013年比で11%近く減少し、褐炭による電力も3%低下した。

稼働を開始する新規石炭火力発電所に関する近年の報告も、大いに注目を集めている。ドイツは2022年に向けて原発を段階的に廃止するため、なるほど送電網に石炭火力発電用の空きができ、それを使わなければ自然エネルギーに割り込まれる。現在、自然エネルギー発電は主として、石炭火力発電よりも高価な天然ガス発電を補っている。天然ガスの燃焼によるCO2排出は石炭燃焼のおよそ半分しかない。石炭火力発電から天然ガス発電への転換は、気候変動対策としてはよいが、政治的になかなか受け入れられないだろう。ドイツはガスのほぼすべてを(うち40%はロシアから)輸入し、さら に世界最大の褐炭産出国である。 ガルツヴァイラー地域の約3万5,000人の雇用( 自然エネルギー部門の雇用の10分の1未満 )が危険にさらされることにもなる。

ただし、電力供給における自然エネルギーの成長速度によっては、新規発電所の1年あたりの稼働時間はますます減る可能性がある。2013年に公表された英国政府の研究では、「急増したように見える」ドイツの新規石炭火力発電所建設は、2007年・2008年の好景気の結果で、「現在建設中のもの以外、ドイツでは当面の間、CO2対策なしの大型の新規石炭火力発電所プロジェクトはないだろう」と結論づけている。

確かに、2011年に脱原発を決定して以来、ドイツの新規石炭火力発電所の建設計画は落ち込んでいる。民主主義の下では、2、3年で石炭火力発電所が建設されることはないため、2012年と2013年に稼働を開始した発電所はエネルギー転換の結果ではない。

ドイツの環境NGO、ドイツ環境支援協会(Deutsche Umwelthilfe)が2013年に発表した図(ドイツ語のPDF)によると、脱原発決定を受けてドイツが石炭火力発電所を建設し始めたということはなく、まして6件は中止された。

原発を段階的に廃止する間、原発で賄っていた電力は自然エネルギーで穴埋めできそうである。しかし、自然エネルギーの成長はおそらく原発の減少分をわずかに上回るだけで、褐炭を始めとする石炭火力発電は比較的堅調に推移するだろう。それに対して、無煙炭による電力は減少が見込まれる。2015年、ドイツ政府は褐炭からの排出を削減する計画を発表した。この計画が法制化されれば、褐炭火力発電は原発の段階的廃止期間中にに確かに減少するだろう。

いずれにせよ、原発の段階的廃止が2022年末までに完了した後に公式発表があろうとなかろうと、石炭の段階的廃止は始まる。ドイツの電力供給で自然エネルギーが補うものは他に何も残っていないというだけの理由である。